「システム開発オフショアに仕事を取られる」は恐るるに足らず
最近、システムエンジニアの仕事はオフショアに取られる、などという論調を良く聞くが、普通のエンジニアの皆さんは全く恐れる必要はないと思う。
但し、あくまで「普通の」エンジニアのみに限った話になる。
あんまりいない普通のエンジニア
「普通の」エンジニアとは、チーム内で正の仕事をして、プロジェクトを納期内に完成する能力のあるエンジニアを指す。
世の中には、チームで負の仕事/ゼロの仕事をするエンジニアが数多くいる。可読性の低いバグだらけのコードを生産するエンジニア、全く進捗しないエンジニア。
そういったエンジニアが生存し続けられる理屈はわからないが、実際に存在する。
プロジェクトを納期内に完成する、という条件はやや複雑になる。
人を増やせば増やす程、オーバーヘッドが生じて生産効率が落ちるというのは有名な話だ。
納期を達成するためには、一定以上の能力を持ったエンジニアが必要十分な数プロジェクトに携わる必要がある。
コミュニケーションオーバーヘッドとエンジニアに求められる能力の関係
ここで、オーバーヘッドが少ないエンジニアは、求められる能力も下がる。
日本語が堪能で、オフィスに出社できるエンジニアをチームに追加した場合と、東南アジアのどこかの国にいて、文化的背景が異なり、英語しか話せない(しかもネイティブでない)エンジニアを追加した場合では、オーバーヘッドは全く異なる。
これは、僕の経験だが、
チャットのレスを半日も待たなければいけない、日本人であれば当たり前に理解できる概念の説明に2時間かかる、等々、オーバーヘッドは想像以上に大きかった。
ぶっちゃけ安くない
ここまでで、海外エンジニアに開発を依頼する際は、同じ仕事を任せるためには、日本人エンジニアよりも高いレベルの技術力(と稼働)が必要となることをご理解頂けたと思う。
しかし、海外エンジニアはぶっちゃけ安くない。
odeskというサービスをご存知だろうか?ワールドワイドなクラウドソーシングのプラットホームである。
例えば、モバイル・アプリエンジニアで、ある程度高いレベル(Expert)の人を探そうとすると、相場が33ドル/時以上となっている。フルタイム換算すると、53万円。
グローバル化によってエンジニアの市場機能は最近ますます整ってきている。世界のエンジニアの給与は上がっていくと見ていいだろう。
こちらの対応コストや、リスクを考えると、果たして見合うだろうか。
とはいえ活用の仕方はある
エンジニアの需給が崩れている今の状況下では、金を積んでも日本ではいいエンジニアが獲得できない、というケースもある。そういった場合には、オフショアで高額報酬を払ってでも良い人材を引っ張ってくるという使い方はありそうである。